職場にて。

職場の話しです。私と60才のおばちゃんと20歳の女の子で病棟のホコリ払いです。若い子がフラワーで壁を払い、おばちゃんが手すりとか絵をふきあげます。私がダスターで床に落ちたホコリをとります。若い子にフラワーの使い方を教えます。私の百貨店時代の奥義です。くくるくるとまわす方法です。こうするとでこぼこのところやくもの巣の張っている天井の角などきれいになります。若い女の子は早速実行してくれました。そして、あっという間に覚えてしまいました。それを見ていた他のおばさんも「動きがすごい良くなったね、あの子」と褒められていました。ここで私は気付きました。彼女は2つの壁を乗り越えたのです。一つは技術の壁。若いからなのか、すぐに吸収できます。自分のイメージどおりに体が動くのです。動けば、今までどうしても取れなかったくもの巣やホコリが取れます。面白くなってきて、作業がスムーズに進行していきました。もう一つは意識の壁です。私はどちらかと言うと敵を作りやすい性格です。よく指摘してしまうからです。よく清掃会社は現場を失います。会社がなくなルこともあります。小さくなっちゃった会社もあります。そうはなりたくないと言う気持ちからいっちゃいます。ベテランのおばちゃんやおじいちゃんはよく愚痴やわるくちが横行します。おじいちゃんはスキルがないので教えられません。でも口は達者。おばあちゃんは愚痴が多く、若い子は怖がっています。若いリーダーや女性は余り積極的ではなく、私も難癖をつけられています。まあ、知らん振りです。いっていることも「オイオイ」って感じです。清掃会社の悪い共通点は「諦め」じゃないかと思います。人生に諦めちゃった。技術習得に諦めちゃった。募集しても人が来ないので諦めて、きれいか汚いか判断も諦めて、人間を諦めちゃいました。清掃は底辺の業種です。だからこそ諦めちゃいけないと思います。諦めて、いかに汚れをきれいにするかを考える前に、人のあらを探すような人にはなれません。人から教えてもらって清掃のレベルを上げたい、と若い女の子も思ってのでしょう。「あの人はどうだ、こうだ」という周囲に嫌気が差していたのかもしれません。意識が学習意欲を伴って動き始めた瞬間です。すごいことです。その後、わたしは60才のおばちゃんにポリッシャーで石を洗うときれいになるのにと言ったことを若いリーダーに提案してくれましたが、そのリーダーは余り乗り気ではなかったようだと聞かされました。この若さで諦めです。怒るどころか、かわいそうになっちゃいます。