清掃業をやっていてよかったところ

清掃のお仕事のいいところは「ありがとう」をいろいろな人から言ってもらえることです。お客さん、従業員さん、看護士さん、患者さんなどからです。その言葉をもらえるようがんばることが私の楽しみです。サービスも少ししちゃいます。お客さんたちが想像している以上に、きれいにしたいと思います。
以前、はたから見ても、いじめと見えることをやっているおじさんを見て、同僚は私に尋ねます。「なぜ、あんな言葉をつかうのかね」。私は考えました。「きっと自分の仕事がとられるという恐怖感と自分のスキルに自信がないからだと思う」と伝えました。先輩になればなるほど、自分が正しい、自分が偉いと錯覚してしまう業界の雰囲気があります。私はできるだけ丁寧に論理的に落ち着いた物言いで指示することにしています。なぜなら、そのほうがきれいになるからです。定期清掃はチームワークが大事です。全員が動いてきれいにするものと思っています。「ばかやろう!」や「おまえ」では言った本人はストレス解消で気持ちいいかもしれませんが、言われた側はたまりません。それ以上にそれを偶然に聞いてしまったお客さんは「乱暴な人!きっと掃除も雑なんだろう」と思います。そんな人にお客さんは「ありがとう」なんて言葉は掛けられません。何されるかわからないからです。ストレスのはけ口や成長しようとしない自身のやるせなさをぶつけられても困ります。今は若い人でも、そういう傾向があります。おじさんたちを見ているからでしょうか。汚れやお客さんに目を向けず、自分自身にばかり集中するとこうなります。謙虚に。何でも、言われたことを聞けという意味ではありません。私は「ありがとう」と言われたら「こちらこそ、ありがとうございます」と返すようにしています。