鐘もつけなくなってきました。

昔、お寺にお参りに行ったときの話です。かなり大きなお寺で、住宅地を見渡せる高台にありました。隣は大きなマンションが建ち。静かな中に、温かさがある禅宗のお寺です。顔がきれいな観音さんや六道地蔵さんがいらっしゃって、私もよく行っていました。観音さんの隣に座って、お供えしたお菓子を一緒に食べました。春は桜餅、三色団子。夏は水まんじゅう。秋は栗のお菓子。冬はあったかいお茶を一緒に楽しみました。いろいろなお話もしていると、お寺の草取りをしている人が話しかけてきました。このお寺は、実は別の場所から移ってきたこと
禅宗の話などをした後、鐘の話になりました。最近は鐘がつけないんです、と。何でも鐘をつくと近所から苦情の電話があるそうです。そういえば、朝や夕方、決まって聞こえていた鐘の音が最近聞こえてきていません。「苦情もかなり多くあるそうです」ライフスタイルの変化で夜に働いていたりしている人が朝から昼は寝ているからでしょう。仏様も肩身が狭くなってきています。ふーとため息が出ますが、仕方ありません。最後に「鐘を突いていきますか」と言われましたが、お互い顔を見合わせて大笑いしました。