見たくないものまで見えました。

悩みました。丸一日、悩みました。しかし、書くことを決意しました。ちょっと寂しくなる話です。いつもの私とはちょっと違う悲しいお話です。12月の中旬に手術も終わり、眼圧も正常に戻り、心配された炎症もひどくならず、退院となりました。帰宅後、早速片付けです。捨てる、捨てる、捨てる、仕舞う、捨てる、仕舞う、あげる、捨てると大忙しです。粗大ゴミも、不燃ゴミも、ダンボールも全てきちんと回収していただきました。何とか年末までに終わり、1月3日、元旦はすごい人だからと延び延びになっていた初詣に大須観音さんに行きました。
昨年は引越し、手術と大変なことばかりでご加護いただきましてありがとうございます、と挨拶をして、ういろを買って地下鉄で帰っているときに、それは起こりました。地下鉄は思いのほか空いていました。私が歩いていると、ちょうど足首のアキレス腱辺りに固いものが当たります。後ろを振り向くと、ベビーカーを押すCMに出てきそうなニューファミリーのパパ風の男性です。判りました。歩くのが遅いので、ベビーカーで「どけ」と当たってきたのです。「すみません」と退くと、すごい勢いで歩いていきました。いやなことが、思い起こされます。視力がまだ十分のときのことです。地下鉄のホームで視覚障害の男性のつく白い杖が、ベビーカーに当たります。当てられたおとうさんはイラっとしたのか、ベビーカーで払いのけます。2度、3度と細かく当たる白い杖をその度に払います。赤ちゃんが小さく揺れています。時間にして5秒ほどでしたか、私は呆然と見ていました。病院の前の点字ブロックのついた道を歩いていると今風のかっこいい自転車に乗ったサラリーマン風の男性が当たってきます。「こっちはちゃんと避けたぞ」というので、警察へ行きましょうというと走り去りました。病院の前の道はお年寄りが多いので、とても危険です。っその頃はステロイドも今とは比べようもないぐらい大量に飲んでいたので、骨ソソウ症の危険があり、骨折の危険もありました。フーとため息ばかり出ます。視力が落ちて、視界が真っ白になっているときは分かりませんでしたが、目が少し良くなると、見たくないものまで見えてきます。怒っているのでもなく、イライラしているのでもないその人たちの無表情の顔も。
いろんな人がいる。そんな感じです。