小さい頃のはなし

スーパーへ行くと大きな声で泣いている子供がいます。おばあさんは「うるさい」と一言。「ねえ。そう思いません?」お彼岸にお供えするおはぎを選んでいる私に同意を要求します。「いいんじゃないですか!子供は泣くのが仕事でしょ。うふふふ」そう答えました。「・・・そうだね」おばあちゃんは立ち去ります。子供の声もいつの間にか聞こえなくなりました。

わたしの小さい頃は静かな子供でした。昭和の真っ只中です。父親は厳しく、何をやっても否定されました。そっと息を殺すように生きていたのかもしれません。やがて、アトピーが出始めます。病院に行けば、アトピーの親玉のように言われていた「たまご」が私のアレルギーを引き起こしたとの診断にいつもうんざりです。なぜなら「たまご」を食べなくても、症状は改善されないからです。今、原因を考えてみると「自分を抑圧しすぎた」事ではないかと思います。幼稚園にいきたくないときでも、大声で騒ぐことなく、ポロポロと涙を流すだけでバスのトラップを上がっていきます。デパートでも大きな声で床に寝っころがってねだることもなく、当時の口癖は「なんでもいい」でした。同年代の子供を見て、「うらやましい」と思ったことは1度、2度ではありませんでした。

「いいのよ、大声で泣いたって!」今、私は空気も読まずに、言っちゃいます。何かが取っ払われたのでしょうか?自分を表現できずに、病気になるぐらいなら騒げ、騒げ。アトピーは周りの目を意識しなくなった大学生頃には治りましたが、アレルギー体質は治らなかったのでしょうか、今難病です。相関関係は図ることはできませんが。今でも部屋にある小さなフォト・フレームには幼稚園時代の私がいます。一生懸命に力を振り絞って、笑っている自分がいます。