私の好きな音楽 『WeWant MILES』

ジャズの帝王と言えば、あの人。マイルス・デイビスです。ビバップハードバップ、モードにフリー。クロスオーバーやフージョン、ロックにポップス。その最先端を走り続けたミュージシャンです。数々のミュージシャンを育て上げたことでも有名です。リリースされたアルバムも数すれず。その中でも、私の好きなアルバムは、「WE WANT MILES」黄色いジャケットのCDです。この前、マイルスは薬やらで、体ボロボロの状態から長期の入院と療養を経て、復活後最初のライブ盤です。病気は治ったと言えども。体調万全ではありません。CDを聞くと「あれ?」って思います。ハイトーンが伸びない。音数が少ないのはマイルスのアドリブの特徴ですが、それにしても・・・。しかし、聞いていくと、熱いものがこみ上げてきます。もう執念です。「俺がマイルスだ」と叫びます。そして、かすれたトランペットの音でも、バンドをマイルスのバンドとして一つの纏め上げています。ギターのマイク・スターンのギターソロでは、「そうじゃないんだ!!!」と言わんばかりに、怒りの横入り。ベースのマーカス・ミラーやドラムのアル・フォスターはしっかりサポート。コール&レスポンスは機能しています。マイルスのあの目でにらまれたら固まっちゃうんですが、パーカッションのミノ・シネルは飄々としていますね。サックスのビル・エバンスも、マイルスのサポートをしています。目だたず・・・。結局、病気だろうが、復活後体力が落ちていてトランペットを吹こうが、マイルスはマイルスだったって事です。「俺を追いこそうなんて、100年早いんだよ」というマイルスの心意気が感じられるアルバムですが、病気の私には「私もがんばる」なんて気持ちで、涙を堪えてしか聞くことのできない一枚です。G+のみすず日記には鬼気迫るマイルスのソロがすごい「FastTraCK」をそっと置いときます。ミノ・シネルのソロがかっこいい。
※「生意気だ!!!」と御批判は想定内で言わせていただければ、「マイルスは音楽をちゃんと知ってる」。